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全国大会を1カ月前に控えたある日の朝
一組の親子が体育館に現れた
コーチと何やら話をしている事から、入団希望者かな?
暫く話し込んだあと、コーチが子供達を呼びつけた
「皆集合!!」
「今日から入団することになった小久保翼君だ。皆仲良くしてくれ」
コーチの脇にいる子供が挨拶していた
「ちなみに小久保君は今6年生だから、6年生の皆よろしく頼むぞ」
その言葉に、子供達はざわついた
無理もない。彼の実力次第では、レギュラーが変動する恐れがあるのだ。大会1ヶ月前に入団なんて冗談じゃないといった顔をしている
明らかに歓迎されていない小久保君は困り顔でうつむいていた
しかし
小久保君とは裏腹に、小久保君のお母さんは強気な姿勢で言った
「コーチ、うちの息子はかなり実力もあるんでレギュラーに入れたって下さい。今年でミニバスも最後なんです」
ーーー……その一言に私は青筋を立てた
そんなことどの選手にも当てはまることだし、どの親御さんもそう思っている
それをいきなり入ってきて場を掻き乱すような真似をするなんて、我が子可愛さか何か知らないが子供達をバカにしている
「…お言葉ですけどお母さん、それは皆同じ気持ちです。そこはお子さんの力次第ですわ」
「なら大丈夫です。うちの子は前のミニバス団でもダントツで上手かったんで」
コーチも頭をかきながら苦笑いしている
子供達は誰一人笑っていない
「そんなに自信あんなら見してもらったらええやん!」
レギュラーの一人の倉田君がそう言った
「…うーん、そうだなぁ」
コーチは、悩んでいた
この子の実力如何ではレギュラーが変動する
それによるモチベーションの低下とチームワークの瓦解を懸念しているのだ
だけど親にあんなことを言われ子供達のプライドも黙っちゃいない
「俺はええよ。そんなに上手いならレギュラーなったらええやん」
簡単に言うな。と言った顔でコーチが睨む
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