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「時間が進んでる...?」
テレビに表示された時間が一瞬で経過していた。ふいに、後ろから声を掛けられる。
「あら?どこにいってらしゃったの?」
Y氏は歯切れ悪く答える。
「いや、ずっとここに居たよ。」
「変ねぇ。勘違いかしら。さっき見たときは居なかったものですから。」
「たまたま見えなかっただけじゃないのかい?」
おかしいわねぇ、と小首をかしげながら妻は寝室に消えていった。
「本当に消えていたんだ...」
驚きと共にあることに気づく。腕時計を使っても店主と違って、Y氏には何も異常はなかった。いや、それどころか、体に活力さえみなぎるのを感じたのだった。
数ヶ月、Y氏は不思議な時計を使い、人一倍働いた。Y氏から見て、腕時計本来のこの世から消えるという機能は完全におまけであり、使用後に訪れる活力感が目的になっていった。
会社は順調に業績を伸ばしていき、Y氏のその頑張りが認められることとなり、副社長に任命されたのであった。また嬉しいことは続くもので、妻から子供が出来たと知らされた。
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