サンタクロース症候群

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トオルというプレゼントは、クルミという子どもと仲良く暮らしました。 二人は毎日いっしょに遊びました。 夜眠るときと、お風呂とトイレのとき以外は、どこへ行くにも、何をするにも、そばを離れることがないほどでした。 それだけずっといっしょにいても、トオルは、クルミに何一ついやな思いをさせることはありませんでした。 そんなトオルが、クルミは大好きでした。 一年たっても、二年たっても、トオルは相変わらずでした。 自分は何も持っていないのに、何も欲しがることなく、誰もうらやましがることなく、いつもニコニコ笑っていました。 そんなトオルを、クルミはますます大好きになりました。 三年たっても、四年たっても、トオルはやっぱり相変わらずでした。 そんなトオルに、クルミはだんだんと、今までとは違う気持ちを抱くようになってきました。
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