過去への決別 そして前を向いて

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辛かった過去の出来事も、タケ兄やこの愛しい人に出会う為だったのだと思えば痛みすら今は愛おしく感じる。 ───ねえお母さん。 希望なんて何も無いと思っていたけれど、やっと見付ける事が出来たよ。 今僕は、本当に幸せなんだって実感してる。 「終わったか。じゃあこっち。先ずこれを細かく刻め」 「はい」 稜さんの横に立って包丁を握る。 今の僕の夢は、稜さんに心から美味しいと云って貰えるものを作る事。 そしていつか、お客に出せるようなものが作れたらいい。 この優しい人の傍で、守られるだけじゃ無くて頼られる存在になりたい。 母が名付けてくれたこの名前のように、大切な人を照らす希望の光になれたらいい。 そんな事を考えながら、僕は包丁を持つ手を動かした。 2018 1 5
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