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褒められたいわけじゃない。 オークションで買い取られたいわけでもない。 ただ、必要とされた事がないから。 誰かに褒められた記憶が無いから。 だから、こんな場所での、こんな行為でも。 この僅かな時間、必要とされる事で、褒められる事で。 何故か、一瞬、心が満たされた気になる。 必死にオヤジのものを口に咥え、舐めたり、吸ったり。 上目使いをすれば、可愛いと撫でてもらえる。 嫌だと思いながらも、心の隅の僅かな部分が喜んでしまう。 矛盾していると自分でもわかっている。 でも、ここで過ごす時間が増えるほど、この生活になじんでしまっている。 嫌なのに抜け出せない。 「おじさん、もういいでしょ?早く、早く欲しい・・・我慢できない」 行為も終盤に差し掛かれば、こんな言葉が心の底から出てくる。 この行為に対する快感を知ってしまった俺の身体はだんだんと拒む言葉を忘れていく。 「じゃあ、入れるよ。力抜いててね。」 「うん・・・あっ、入ってくる・・・」 この行為に馴れてしまった俺の身体は、いともすんなりと、オヤジのそれを飲み込んでいく。 僅かな痛みと、圧迫感。 それ以上に、背筋を這い上がる凄まじい快感。 「あっ、ああ・・・やあぁ、気持ちい」 こうなると、もう喘ぐことしかできなくなる。 心よりも身体が気持ちいいと叫ぶ。 口の端から垂れていく涎や、自分の中心でいやらしく溢れだす先走りを気にする余裕なんてない。 更なる快感を追って中心に伸びていく自らの手を止めるなんてできっこない。 ただただ、喘ぎ、求め、快感を追う。 行為に快感に溺れ、今日を終える。 そして、また、自分は決して買い取られる事のないであろうオークションへ。 その繰り返し。 それでいい。 それでも生きているんだから。
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