淡島神社の邂逅(かいこう)

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 そんな時だった。偶然にも夫のスマホを見る機会があった。盗み見るような真似をするつもりはなかった。遊び半分のつもりだったの。  なんと夫のラインには会社の同僚の女の人とのやり取りがあったの。そこには女の人と食事に行ったりして遊んでいる様子があった。悩みごとの相談まであった。かなり親しくしているのは間違いがない。  ショックだった。夫はギャンブルなど一切しないしお酒も飲まない。まじめを絵に描いたような人だった。それだけに信じられなかった。  私は夫に対して手紙を書いた。あえて古風な毛筆で。率直な気持ちが紙面に写るようだったから。書き置きを残し、黙って自宅を出た。  気ままな一人旅なのはそういう理由だったの。気持ちを整理する為に。  だからこの地を選んだ。女性にとっての味方と言えるような場所だから。この神社に来て数ある人形を見ていたら、なぜだか涙があふれてきてしまったの」
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