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祖母は話を続けた。
「真菜の言う通りや。人形に対して『うらみか何かがこもっていそうで怖い』と言う人がいるが誤解です。映画やドラマでありえない像を作り上げてしまっています。人形に罪はない。
人形は人の心を写す鏡なんです。人は自分自身の心と向き合っているだけ。
だから、人形をかわいがり慈(いつく)しむ。もし『人形が怖い』と言う人は自分自身の心のやみをおそれていると思う。
でもそうした感情もあっていいし、あるはずです。つまらない思いやよこしまな考え、嫌な感情があっていいのです。時にもがいてもいいし、逃げてもいい。それらがあって人なんです。
ただ、それらと向き合わないといけない。他人じゃないです。自分自身のマイナスの感情と戦わないといけない。だから苦しい。“勝つ”ではなく“克つ”です。
でも、そうしたことにも何か意味があるかもしれませんよ。自分をかえりみて磨き、家族を見守りつつみ込む、他人をいたわり交流する。
結局、人は人しか愛せません」
祖母は一呼吸おいた。
「ちょっと、説教じみたかな」
そう言いながら祖母は苦笑いした。
「いいえ、全然。ありがとうございます。何か元気が出てきました。来てよかったです」
さつきは笑みを浮かべる。
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