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翌朝、駅へと向かうさつきを真菜と祖母が見送りに行った。駅のホームには下りの電車が到着した。車体が鮮やかなピンク色に染まっている。来るときに乗った電車とは別の『めでたいでんしゃ』の仕様だった。
思わず真菜とさつきは顔を見合わせた。お互いに両手をあわせてハイタッチした。
隣にいる祖母に視線を向ける。
「女将さん。私にもいたらない点があったかもしれないです。帰ったら夫とゆっくり話し合ってみます」
祖母はゆっくりとうなずいた。真菜にも声をかける。
「真菜ちゃん、ありがとう。また連絡するね」
真菜も笑顔を見せる。その時だった。
「さつき」
駅の構内からさつきを呼ぶ声がした。
改札から出て来たのは三十代半ばの男性だった。
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