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真菜の隣に座った女性が真新しいペットボトルのお茶を差し出してくれた。女性は愛想よく口元に笑みを浮かべる。
真菜はありがたく受け取った。口に含むとひんやりとした感覚が心地よい。
「私は奈良から来たんやけどすごい電車やな。知らんかったわ」
女性は端正な顔をしている。落ち着いた喋り方にも好感が持てた。
「この電車は去年から走っているんです。私も今回乗るのが初めてですけど」
「まだ学生やね」
「中二です」
「私は気ままな一人旅やけど。あなたは?」
「私も一人です。夏休みを利用して加太のおばあちゃんの家に向っています。」
「えらいわ」
「おばあちゃんは加太旅館の女将(おかみ)です」
「ほんまに。それやったら今夜に私が泊まる予定の旅館やわ」
「それやったら一緒に行きましょう。案内しますよ」
真菜は会話に興(きょう)じながらも、時おり窓の外に目をやる。
木立や田園風景が移り変わる。見ていてあきなかった。
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