復讐のショータイム

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「あの、その際に異性が接近してくれた場合、その後はどうしたら良いのでしょうか?」 「それはもちろん、ケースバイケースです。状況を見極めて、次の一手を考えてください。基本は相手の一手を見てから余裕をもって冷静に一手を返すこと。そうそう近年ビジネスにおいて『孫子の兵法』が役立つと言われてきていますが、恋愛にも役立つのではと思いますよ」 そう話した清貴に、皆は『孫子の兵法』と、納得とばかりに相槌をうつ。 「とはいえ、あまり計算高くならないように。男たるもの常に紳士であり、女性を護れる存在であることを心掛けてくださいね……僕が言えるのはこの程度でしょうか。恋愛講義は、管轄外でして申し訳ないです」 清貴が胸に手を当てて軽く頭を下げると、 「先生、本当にすごいです! 今までありがとうございました!」 「人生の師です」 生徒たちは立ち上がって目に涙を浮かべながら拍手をする。 教室の外では、清貴を雇った経営者の工藤が、「この雰囲気本当に怖くて」と、額に手を当て、隣に立つ男を見た。 「あっ、失礼しました。家頭先生の講義、もう終わるようです。皆が短期間で学力アップしまして、それは大変ありがたかったのですよね」 すると、その男――秋人は肩をすくめ、勢いよく教室の扉を開けた。
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