復讐のショータイム

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「東京に来てるなら、声くらい掛けろよ。薄情だろ?」 「僕も遊びで来てるわけじゃないですし、あなたも忙しくされているではないですか」 「まぁ、そうだけどよ。最近マジで忙しいし」 「そんな忙しいあなたがここに来たのは、僕にお願いごとがあってのことですよね?」 「さすが、話早ぇな。そうなんだよ、頼みがあるんだ。お前も忙しいのは分かってるし、スケジュールが空いてたらの話だけど、一日でいいんだ。俺の付き人兼マネージャーをしてほしい」 「一日だけですか?」 秋人の申し出が意外であり、清貴は目をぱちりと開く。 ああ、と秋人は頷いて、バッグの中にごそごそと手を突っ込む。 「事務所の人に『一日マネージャー』の仕事内容と報酬のことを書いた書類を作ってもらって……」 取り出した茶封筒はよれてクシャクシャになっており、清貴は呆れたようにしながら、それを受け取った。 茶封筒の中から書類を取り出して、ふぅん、と清貴は顎に手を当てる。 「……大阪でイベントですか」 「おう。でも、もうこの頃は、お前は次の仕事に入ってるのか?」 「ええ、この頃には市内の京都精華大学で臨時講師の仕事が入っています」 そう言うと、「そっか」と秋人はガックリと肩を落とす。 「ですが、イベントが行われるこの日は、休日ではあります」 そう付け加えた清貴に、秋人は「えっ」と目を輝かせて顔を上げた。 「まあ、いいでしょう。たった一日ですし、報酬も悪くありませんしね。それにこの辺りであなたからの借りを返しておきたいので」 息を吐くように言った清貴に、秋人はきょとんとして首を傾げる。 「えっ? 俺、お前に貸しなんてあったか?」 「…………」 清貴は一瞬黙り込んだ後、小さく噴き出した。
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