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「何笑ってんだよ?」
「いえ、なんでもないです」
清貴は可笑しくてたまらないという様子で、まだ笑っている。
「なんだよ、気持ち悪いな」
「失礼しました。やはり羨ましい人だと思いまして」
「俺が羨ましい? あ、だから引き受けたのか?」
「……それは違いますが。引き受けた理由のひとつに、このイベントが行われる場所にも惹かれたのもあります。懐かしいですね……」
清貴は書類に目を落としながら、独り言のように零して、口許を綻ばせる。
「おっ、お前も子どもの頃、遊びに行ったのか?」
「ええ、もちろん」
「だよな。関西人にとって、『ひらパー』は心のふるさとだよな。店長に連れて行ってもらったのか?」
「ええ、父もそうですが、上田さんとも。利休も一緒だったことがあります」
本当に懐かしいですね、と清貴は零して、書類と共にクリップに挟まれていた冊子を手に取る。
その冊子は『ひらかたパーク』のものだった。
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