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「で、早速、関係者を紹介したいんだけど、お前、いつまで東京にいるんだ?
塾講師の仕事が終わったし、葵ちゃんに会いたいからって、即座に飛んで帰るつもりか?」
秋人は手にしていたコップを置いて、少し前のめりになる。
「いえ。葵さんには会いたいですし、飛んで帰りたいのですが、もう少し東京にいる予定です。他にもやることがありまして」
「やることってなんだよ?」
「祖父の知り合いがいる南青山の骨董品店に伺う予定でして」
「そうか、お前も大変なんだな。なぁ、明日、小一時間でも空いてないか? 一日撮影してるから、夜でも大丈夫なんだけど」
「それでしたら、夕方には
時間作れますよ」
「よっしゃ、頼むよ。スタジオの住所スマホに送っとくし」
秋人はお茶を飲み干して、すぐに立ち上がる。
「これからまたお仕事ですか?」
「ああ」
「売れっ子は大変ですね」
秋人は「まぁな」と苦笑し、「それじゃあ、明日頼むな」と応接室を出て行った。
一人残った清貴は、そっと腕を組み、
「……たしかに、少し様子がおかしいですね」
そう零して、微かに眉根を寄せた。
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