種とゾンビ

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「はい、ゾンちゃん、あーんしてくださーい」  口を開けると、生クリームとスポンジケーキが乗せられたフォークが入って来た。また歯にフォークが当たり、ガチガチとなる。 「おいしい?」 「…………」  俺はとりあえず頷いた。  俺の退院祝いのためにケーキを買って来てくれたらしい。おいしいかどうかは分からないが、種が俺を喜ばせようとしてくれているのは分かった。 「じゃあゾンちゃん、もっと食べましょー。はい、あーん」  ケーキが乗ったフォークを差し出され、俺は仕方なくまた口を開いた。 「これはどういう関係?」  高橋が俺たちを指差して姉に聞いた。 「ペットよ」 「ペット?」 「種が家の前で落ちてたのを拾って来たの。だから飼うことにしたのよ」 「…………」 「もう逃げ出さないようにしなきゃね」  高橋がきょとんとした顔をしている。  どうやら俺は家族公認で飼われることになったようだった。
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