29(承前)

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「明日の訓練は仮病でもつかって休まないか」  ジョージがちいさく首を横に振った。 「8回目を休んでも、9回目、10回目の訓練で事故は起きるかもしれない。時間に復元力があり、未来が定まっているなら、逃げても無駄だ。ぼくも副作用の記憶は鮮烈だ。あの記憶が過去にどこかで実際に起きたことだというのは、研究者にいわれなくとも確信がある。同じことが未来で起きたとすると……」  今度はジョージがじっとタツオの目を見つめた。明るい瞳は底が見えないくらい深い。 「ぼくはほんとうに戦闘中行方不明になるのかもしれない」
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