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ジョージとタツオは比較的副作用が重いほうだった。なかでも特筆すべきなのは、時間と空間の壁を超え、記憶が撹拌(かくはん)されることで、太古の昔から未来までさまざまなイメージが奔流のように襲ってくる。
「医師によると誰かの過去の記憶だけでなく、未来のイメージが垣間見えることもあるそうなんだ。ぼくは見た……」
そこから言葉が続かなくなった。必死にジョージの秋の日を浴びたドングリのような明るい茶色の瞳を見つめた。なにかに気づいた顔をして、混血の天才児がいった。
「……ぼくの未来を見たのか」
「そうだ」
さすがにジョージは肝(きも)が据わっていて、笑顔を崩そうとはしなかった。
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