第88話

２９（承前）

　あわてていった。

「あの手の時間旅行ものでは、改変された未来の細部はだいぶ違っていても、そこで起きる重要なイベントは元の歴史と変わらないことが多いよね。時間には本来の歴史の流れに復元しようという頑固(がんこ)な抵抗力があって、どんなに対策を打ちだして、必死に努力しても、最悪の出来事が発生するのを逃れられない……」

　そこまで夢中で話して、タツオは気づいた。これは目の前にいる友が死んでしまう未来の話なのだ。ジョージが慰めるようにいった。

「簡単にぼくを殺すな」

　タツオは全身に嫌な汗をかいていた。