ママじゃない パパがいい

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結婚5年目、念願だった我が子を抱き合って、誕生の喜びを分かち合ったのは2年前。 初めて寝返りを打てた時、初めてのはいはい、つかまり立ち、伝い歩き、立っち、あんよ。どれも夫婦で我が子の成長の喜びと感動を分かち合った。初めて娘が意味のある言葉を話した時には、どれ程の感動があっただろう。そんな夫婦が、娘の一言に翻弄され、嫉妬し合っている。 旦那の嫉妬の始まりは、娘がパパよりもママという言葉を先に話し始めた時だった。 旦那は付き合い始めから嫉妬心の強かったが、娘が産まれてからは段々と和らいだ。そして次第に執着は娘に、矛先は私に移ったのだ。 彼の嫉妬心を最も掻き立てる言葉は、娘の「パパじゃない!ママがいい!」だった。旦那が初めてこの言葉を浴びせられた時、抱っこしていた娘を私に預けると、そのまま外出し、家に戻ってきたのは5時間後だった。それから2日間、私とは口を聞かずに、娘には何かにつけ「どうせ。パパよりママだもんね。」と言う日々が続いた。私は、そんな旦那を馬鹿しく思っていたが、初めて娘にその言葉を言われた時、旦那の行動と言動が少し理解ができる気がした。 「ママじゃない!パパがいい!」 その言葉は私の胸に突き刺さり、旦那に対してちょっとした嫉妬心を覚えた。 私はそれまで、嫉妬心を持ったことがない。それは、恐らく一人っ子で自由奔放に育てられたこと、初めて付き合った旦那から常に強い嫉妬心を向けられていたことが要因だと思う。そんな私にとって初めての感情だった。 そして、優越感に浸る旦那の表情と行動を見て、妙な苛立ちを感じた。 それから、嫉妬したり優越感に浸ったり、私達夫婦は、度々娘の発する言葉に翻弄される日々が続いた。そんな日々を過ごすうち、娘の様子から、あることに気づいた。 眠い時の抱っこはママ。遊びたい時の抱っこは等、娘は単純にその時の気分によって、その言葉を使い分けていたのだ。 「パパじゃない!ママがいい!」 娘がそう言った時に「今は、ママの気分なのよね。」と言うと、娘は頷いた。 それから、私達は、あまりこの言葉に振り回れなくなった。 今、家族の中で一番、嫉妬に悩まさているのは、最近弟ができた娘だ。 旦那に似て娘は嫉妬心が強いようで、私に抱っこされる弟に日々、嫉妬心を剥き出しにしている。 私は娘の嫉妬心を育てないように、上手く子育てをするにはどうすべきか、日々頭を悩ませている。
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