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エリアルの泣き声が一人の少女の耳に入った。
その少女は建物の上を走り、飛び回りエリアルのもとに駆けつけた。
リープ「こんな夜中に一人で泣いて、どうかしたのかい?」
エリアル「うぅ…。えっく」
エリアルは泣きじゃくり、言葉を発することが出来なかった。何も話を出来ない状況だがリープがあることに気付き、思案している表情を浮かべながら呟いた。
リープ「その鳥…。目も口もないね…」
エリアル「えっ…?」
エリアルは驚きで涙がピタリと止まった。
リープ「あ、泣き止んだ」
エリアルは勢いよく顔を上げ、リープの顔に近づけて言葉を放つ
エリアル「見えるの!?」
リープは少し覚ったように答えた。
リープ「見えるよ。はっきりとね」
エリアル「そうなんだ。幻覚じゃなかったんだ」
リープ「幻覚?あぁ、普通の人には見えないからそう言われたのね」
エリアル「普通の人には見えない…?」
リープがさらっと言ったことにエリアルが目を丸くして驚く。
リープ「それを知らなかったって事は、あなた自身最近見えるようになったってことかな。私はずいぶん前にそれは経験したよ」
そう言うと、リープの肩に黒い兎がフワリと姿を現した。クロウと同じく目や口のない真っ黒な兎。
エリアル「それは…。もしかしてクロウと同じような子なの?」
リープ「その鳥、クロウって言うのね。良い名前だね。この子はラビって名前だよ。同じように見える人に会うこと事態はじめてだから、同じかどうかは正直分からないよ」
エリアル「そうなんだ…。あっ!」
リープ「なに?どうかした?」
エリアル「自己紹介まだだった!私エリアル!」
リープ「あっはっは。確かにこの子の紹介して自分の紹介まだだったね。私はリープ。よろしくね」
エリアル「よろしく!」
リープ「あ、ところでエリアル。どこか行く宛あるの?あれだけ泣いてたって事は余程の事があったんでしょ?」
エリアルは思い出したように俯いて、答えなかった
リープ「そのようすだと、無いみたいだね。とりあえず私の家にくるかい?」
エリアルは静かに頷いた
リープ「じゃあ、ここから歩いたら次の日の朝に着くぐらい遠いけど頑張ってね!」
エリアル「えっ。遠い…」
エリアルはまたも驚きで泣き止んだ。
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