第1話 蛙と蛇

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 教室の入り口で踵を返し、行くあてもなく廊下を歩こうとしてなった予鈴にほっとした自分がいる。  無言で自分の席に戻っておしゃべりに夢中の名前もわからないクラスメイトに視線を落として、「なんとなく」席を返してもらう。  私の日常。学園生活。  高校生ってもっと楽しいものだと思っていたけど、どこで躓いたのかやっぱり私には良くわからない。  中学校の時はまだ友達がいたような気がする。小さい頃からずっと一緒だった幼馴染とか、近所の子とか。  いまの私は独りだった。  廊下で顔見知りの人を見ると緊張する。  向こうは全然気にしてないみたいで、「よっ」とか声をかけてくれるけど。  ……それももう、だいぶ前の話かも。私がそういう人を見かけるたびに避けるようになっていたから。いつの間にか。向こうも気には止めてくれてるようだけど、今はもう、声もかけてくれない。  わからない。何がダメだったんだろう。  授業はそれほど難しくもない。毎日先生の話を聞いて、予習復習を欠かさずやればついていけるし、テストの点も平均点より少し上をキープできてる。  進学校だから心配してたけど、平気だった。  なのに、どうして。どうして、こんなにもお腹が痛いんだろう。     
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