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第2話 雨具らしのチャッピー。
この学校にも不良っているんだ……。そんな風に思いながら胸を抑えて見るとまだドキドキしていた。
長い前髪越しに見えた目はなんだかギラついていて、しかも髪は茶色に染めていた。
パラパラと、図書室の棚から適当に本を取り出しては捲って見るけれど内容が頭に入ってはこない。隣の教室にあの人がいるって思うと妙に落ち着かなかった。
昨日まで何事も感じなかったその一角が突然異質なものを発しているように感じられる。どよよーんとした重いオーラを思い浮かべて流石に小説の読みすぎかと馬鹿らしくなるけど、ゴトリと物音がするたびにあの人が何か落としたのかとビクッと体が跳ねてしまった。
思っているより私は酷く臆病なんだなぁとか、なんだかいつもより興奮気味なのも少しは察して居て、ドキドキと、視線が図書管理室に向く。
「何か探し物?」
「ぁ……」
「ん?」
「いえ……」
振り返れば図書室を管理している司書の栗林先生が首を傾げていた。
「次はどの本にしようか悩んでいただけです……」
「三咲さん随分借りてくれたものねー……。んー……」
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