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「授業はしっかりと受けるべきです」
授業をサボろうとした瑠衣を捕まえて、蒼汰は言った。
「来ないのであれば家まで迎えに行きます」
ずる休みを考えていた瑠衣に、蒼汰はそう釘を刺してきた。寝坊してサボろうとすれば、わざわざ自宅に電話を掛けてきた。「このまま来ないのであれば迎えに行きます」と宣言され、家まで来られるのはずる休みをするより面倒くさいと、瑠衣はずる休みができなくなった。
「居眠りはやめなさい」
瑠衣と近くの席になったときは、瑠衣が授業中に寝ようとする度に、頬を抓るようにして起こしてきた。
「宿題はやってきましたか? ……やってない? だったら今やりますよ」
登校して教室に入った瞬間、蒼汰はそう声を掛けてくる。そして瑠衣が宿題をやっていないと確認すると――といっても、瑠衣が宿題を自分の意思でやってきたことは一度もないのだが――無理やり宿題をやらせる。その際、絶対に蒼汰は、自分の宿題を写させてはくれない。
「逃がしませんよ!」
瑠衣が逃げれば、蒼汰はどこまででも追いかけてくる。面倒くさがりな性格が幸いしてか、最終的に瑠衣は、いつも蒼汰に捕まってしまう。
そんな感じで。
何度瑠衣が放っておいてくれと頼んでも、蒼汰は小言をやめなかった。クラス委員だから、教師に頼まれたから、を理由に、瑠衣の不真面目を否定し、逃げようとする瑠衣を無理やり教室へ連れ戻す。
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