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 世の中には二種類の人間がいる。  真面目な人間と、不真面目な人間だ。  この二つの人種は、絶対に上手くいくことはない。性格、考え方、価値観、何もかもが真逆であり、見ているだけでお互いの精神的にもよくない。  ――それが、瑠衣の持論である。  その証拠が、蒼汰との関係だった。  元々関西に住んでいた瑠衣が、家族と共に関東へ引っ越してきたのが中学三年生の終わり頃。受験した高校は、引っ越しを視野に入れていたため関東ばかりだった。  そして入学したのが、城西高校だ。  そこで瑠衣は、蒼汰と出会った。  ……というより、無理やり関わりをもたれている、という方が正しい。何故なら最初は、同じクラスでありながらもお互い、顔と名前を知っている程度の仲でしかなかったからだ。  入学当初、標準語や関東の空気に慣れず、また人付き合いも嫌いで面倒くさがりだった瑠衣は、学校をサボることも多かった。寝坊して行かなかったこともあれば、気分が乗らずに早退することもよくあったし、そうでなくとも授業中に姿を消すことが多かった。  進学できる最低限の出席日数は確保し、試験での点数も最低限を死守する。無駄な労力を費やしたくない。クラスメイトと慣れ合うのもバカらしい。それが瑠衣の考え方だった。  だが真面目なクラス委員の蒼汰に、その考えは理解できなかったらしい。  真面目な性格を知っている教師から「瑠衣をどうにかできないか」と相談されたことも相まって、蒼汰は瑠衣に付きまとうようになった。
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