1番端っこのテーブル席

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1番端っこのテーブル席

「いつもの喫茶店、いつもの場所で」 届いたメールを見返す。僕はもういつもの場所…1番奥のテーブル席に座っている。今は2時45分。集合の時間より少し早い。 コーヒーを一口飲みその世界に浸っていると、カランカランと音がなり店のドアが開いた。こっちに指をさして手を繋いだ男女がこちらに歩いてくる。 「たか君っていつも早いよね。」 そう言って向かいの席に座る。「まぁね」と軽く返す。 「たか」とは僕の事だ。たかしだからたか、そのままだ。ちなみにこの2人、かずやとあかりは付き合っている。いつもいちゃついている事に少し嫉妬したりする。まぁ見慣れたといえばそれまでだが、自分の恋は叶いそうにないからそう思うのかもしれない。 「そうそう、今日の夕方から雨降るらしいよ。」 かずやが携帯の画面から視線をあげて言う。 「まじかー、じゃあ早くケーキ食べて行こうぜ。」 と返答して。ケーキを注文する。ここのケーキとコーヒーは控え目に言って絶品だ。なので何かの記念日などはここで祝う習慣ができている。 そう言う今日も誕生日だ。そして届いたケーキを囲み声を揃えて… 『誕生日おめでとう!』 ケーキを4等分に分け各々食べ始める。3人は明るく振舞いながらも口数は少なかった。 「荷物ちゃんと持って来た?」 とかずやがケーキを食べ終え聞いて来た。ひとしきりカバンの中を確認して「問題なし」と答える。 「あっ、お花は行く途中でお願いね。」 あかりが言ったのを境に立ち上がり店を出る。2人が店を出た後に少し遅れて僕も店を出る。 ドアが閉まる時に店の中から (ありがとうたか君…) と聞こえた。それが空耳か何なのか定かではないが、僕は振り向かずに「どういたしまして」と呟き歩いて行く。 僕の恋は一生、それこそ死ぬまで叶わない物だと再確認した。
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