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「えっ」
ついつい素直にその声に反応して、フロアを見ると、確かに燕尾服を着たカッコいい安藤くんが、逢坂さんをエスコートしながら入ってきた。
うん、この二人は本当に絵になるなぁ、とつくづく思う。
でも、逢坂さんには、やっぱり嫉妬のような醜い感情が湧いてこない俺。彼氏さんが溺愛してるのを知ってるからだろうか。
「安藤せんぱーいっ!」
なんと、俺の周囲にいた女の子たち全員が、大きな声で声援を送る。
その声の大きさに、俺の方がびっくりして、周囲を見てしまう。
「ほら、安藤先輩、気づいたみたいですよ!」
そう言われて彼のほうに目を向けると、満面の笑みで俺のほうを見ていた。
「きゃぁぁぁぁっ!」
鼓膜が破れるんじゃないかっていうくらいの女の子たちの黄色い声に、俺は両耳を手で抑え込んだ。
なんだよ、このテンションの高さはっ!?
びっくりした俺に、安藤くんは、逢坂さんにも声をかけたみたいで、逢坂さんも楽し気に笑ってる。
もうっ、二人とも試合に集中しろっていうのっ!
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