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二日目。
おはようございます。
長い間、暗くて狭い、それなのに居心地のいい場所にいたようで、現在の眩しい世界が直視できずに目を瞑っています。
勿論、時計が見られないので周囲の音で何となく今は朝なのだなぁと判断しての挨拶です。
昨日はあれから恥ずかしさのあまりに意識を手放したようで、今に至る。
状況を確認しよう。
俺は今、どうなっている?
背面はフカフカと人を駄目にする感触。
前面は何も重さを感じないが、羽毛の布団が被せられているらしい。
手を動かすと独特のサクサクした音が聞える。
それから、体は肌触りのいい布で包まれているようだ。
よし、衣類確保。
まだ真っ裸だったら再度、恥ずかしい寝をするところだった。
「ふ、ふふふ……」
昨日のことを思い返せば、恥ずかしさのあまりに思い出し笑いも出てしまうというもの。
「あら、あなた……この子、笑っているわ」
すぐ近くに声が聞え、ぎくりとした。
俺がいる場所には他にも人がいたようだ。
優しい声は女性で、どこかで聞いたような気もする。
ふわりと柔らかな指が俺の頬を撫でた。
「……そうだな」
今度は静かで深みのある男の声。
大きくて無骨な手が、柔らかな指とは反対側の頬を撫でる。
「この子の名前を決めたんだ」
不意に男の声がそう告げた。
名前?
俺の?
俺の名前は……。
スイッチが切れるように意識は途切れ、男のいう「この子」の名前は聞くことができなかった。
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