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「たーかーはーしーくん!」
ある日、あるとき、どこにでもある高校の、どこにでもありそうな休み時間の風景。
俺はとある席に向かい、大きくて広い背中にのっしりと乗り上がった。
相手は文庫本を読み耽っていたようだ。
「いーいーじーまーくーん」
下から聞こえてくる抑揚の無い声が俺に対して抗議しているようだが、知ったこっちゃない。
「今度はなーに読んでんの?」
「クラス最弱が伝説の魔獣になりました」
「まぁた異世界転生?」
「ここ数年は熱いジャンルだぞ、異世界転生」
「はー、へー、そうなんだー(棒)」
「クラスでいじめられていた少年が、異世界では畏怖の存在だ。読んでいて爽快になる」
奴の向かい側の席に座ると、高橋は爽やかな笑顔で俺に本を差し出した。
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