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こんにちは異世界
オギャーと産声を上げた瞬間、俺は自我に目覚めた。
既にその状況からして自分は違和感を抱く。
オギャーと自分は産声を上げている?
どうして?
「おめでとうございます! 可愛らしい男の子ですよ!」
すぐ耳元で聞えるのは嬉しそうな女性の声。
それから、大きな手で抱き上げられる感覚。
それから、あれ?
俺、全裸?
身ぐるみ剥がされてる?
スースーするんですけど。
確認をしたくても、瞼を閉じていても刺すような光のせいで見ることは出来ない。
それに、俺の体を抱える手があまりにも大きいことに緊張して、ひくっと喉が鳴る。
こんな大きな手、今まで見たことも(今は目を閉じているので確認できないけど)聞いたことも感じたこともない。
ちょっと待って!
ちょっと待って……この手、女?
俺、真っ裸で女の人(巨人?)に抱えられてるの?
逆セクハラですか?
恥ずかしさのあまりに悲鳴を上げたが、俺の喉からは、
「ふぁー!」
入れ歯を飛ばすジジィのような、何とも間抜けな声しか出ない。
「あらあら、おねむかな~?」
女の手があやすように上下に揺れる。
違う、あやさなくて良いから、服を……服を着せてくれぇぇえっ!
羞恥心に顔を真っ赤にさせて身を震わせる。
これが、俺が生れて一日目の記憶だ。
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