友達

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箸を拾ってやった安藤が「良かったな」と声をかけると、田辺が嬉しそうに頷いた。 確かに一穂に名前を呼ばれた時は嬉しかったけど、嫌いなやつから名前を呼ばれてなんでこんなに嬉しそうなんだ? 見ていると、田代に「…………何だよ」と軽く睨まれた。 ━━やっぱり俺の事嫌いだよな……。 その時、安藤がパンと手を叩いた。 「注目。じゃあ、みんな友達だから今日から名前呼びということで決定な。冬樹も分かった?」 安藤も名前で呼ぶのか……。まあいいけど。 「ああ」 「俺は千景(ちかげ)だから。よろしくな」 「………」 「呼べよっ!」 「………」 アハハハと笑い声が起こる。 友達。なんかくすぐったいような嬉しいような変な気持ちだ。 あ、そうだ。 「一穂もちゃんと呼べよ。………さっきの、嬉しかったから」 「うん、分かった。ふ、冬樹」 照れるなよ。 「あれ、2人共真っ赤だぞ」 「川上うるさい」 「えっ、また戻ってるぞ」 やっぱりみんなで食べるのは楽しい。
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