初恋

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「冬樹、次音楽だぞ。教室移動だるいなー」 正隆(まさたか)がため息を付きながら立ち上がった。最近やっと正隆と名前で呼べるようになった。油断するとすぐ川上と言ってしまうのだが。 「おーい、一穂も行くぞー」 「うん」 「俺は誘わないのかよ」 安藤……じゃなくて千景(ちかげ)が正隆に文句を言っている。 「今から誘うつもりだったんだよ。なっ、冬樹」 「俺を巻き込むな。一穂、面倒くさいからほっといて行こう」 一穂は2人を気にしながらも俺の隣に並んだ。 俺達4人は相変わらずオトモダチとして過ごしている。昼食時には隣のクラスから田辺じゃなくて伸也(しんや)もやってくる。 全快祝いの次の日、あんな風に帰ってきたから気まずいかなと思ったけれど、一穂の態度はいつもと全く変わらなかった。 ━━気にしてたのは俺だけなんだな。 怒ってなくてほっとしたのは確かだが、なんだかモヤモヤとしながら1日過ごした。
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