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変わったのは、一穂を送迎することがなくなったくらいだ。
電車の路線が同じだから朝会ったら一緒に行くが、それは毎回じゃなく一穂が他の友達に先に声をかけられたら別々に行く。俺と違って中学から通っている一穂は友達が多いんだ。
当たり前のように一穂の隣に並んでいたのが嘘のようだ。
━━最近一緒にいることが多くて、いつの間にか一穂にとって俺は特別だって勘違いしていたんだ。そんなわけないのにバカだな。
「桜庭 冬樹君かな?」
顔を上げると、見知らぬ上級生が立っていた。学年はネクタイの色で分かるようになっている。
「はい、そうです」
「俺はバスケ部のキャプテンをしている2年の御影だ。君は中学の時バスケ部だったそうだな。県大会にも出たそうじゃないか。良かっらバスケ部に入ってくれないか?」
部活の勧誘か。
バスケは好きだが、この学校のように中高一貫の場合は既にチームが出来上がってるので途中から入るのは難しいんだ。
「でも高校からじゃ……」
キャプテンは俺の言おうとしている事がわかったようで。
「確かにチームは出来上がってた。でも、うまい奴が抜けて困ってるんだよ」
部活を抜けた?
イジメでもあったんだろうか。
「辞めたんですか? それとも………」
辞めさせられた?
「あ、違うから。問題があった訳じゃなく、生徒会に入ったから抜けたんだよ。正宗……生徒会長の高屋敷正宗を知ってるだろ?」
「高屋敷……正宗……」
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