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「何かあった?」
正隆が前の席から心配そうに聞いてきた。
「別に……」
「じゃないだろ?明らかに落ち込んでるぞ。1人で抱えこむなよ」
「ああ……そうだな。なぁ、お前今好きなやついる?」
「えっ、す、好きなやつ?」
顔を赤く染めた正隆が恥ずかしそうな上目使いで俺を見て小さく「桜ちゃん」と呟いた。
桜ちゃん?
正隆とは同じ中学だったから、桜という同級生がいたか考えてみるが思い浮かばない。
「その子って中学の同級生?」
「違う…………の……いも………」
照れてるのかどんどん声が小さくなって聞こえない。
「ん?」
「だから、……ニメの………」
「ごめん、言いたくなかったらいいよ」
こんな教室でする質問じゃなかったな。
「だから、深夜アニメの俺の妹の桜ちゃんが好きなんだよ」
深夜アニメ?ああ、こいつに聞くんじゃなかった。
けれどそこに千景が通りかかり、呆れる俺をよそに桜ちゃんで盛り上がりだした。千景も桜ちゃんファンらしい。
「川上も安藤も桜ちゃん推し?実は俺もー」
隣の席の奴までも参戦してきて、桜ちゃんのどこが可愛いかを楽しそうに言い合っている。
3人のあげあげなテンションのお陰で気分が少し浮上したのは内緒だ。
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