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俺は椅子に座り直して一穂を見た。
「この前楓花ちゃんが、かずくんは正宗お兄ちゃんが大好きなんだよって言ってたんだ」
「楓花が?でもそれは……」
一穂の言葉は伸也に遮られてしまった。
「やっぱり会長が好きなんだな」
伸也は今にも飛びかからんばかりの勢いで、一穂に詰め寄った。
「まあまあ落ち着いて」
千景がクラス委員らしく冷静に止めに入ると「そうそう。怒ると可愛い顔が台無しだぞ」と正隆も伸也の肩に手を回した。
「離せよっ!」
「嫌だね」「嫌だよ」
千景と正隆が同時に言い放つ。
「一穂、本当はどうなんだっ」
「違うよ。僕は会長の事が好きじゃないよ」
キッパリと言いきった一穂の視線は伸也ではなく俺に向けられている。
「確かに昔正宗先輩の事が大好きだったよ。だけどそれは初恋みたいなもので、先輩と恋人になりたいとは全く思ってないよ」
「でも楓花ちゃんが……」
「楓花か……。冬樹は好きな人ができたら7つも下の妹に言うの?」
「それは……」
黙って首を震る俺に一穂が言った。
「冬樹は僕が会長を好きなのを黙ってたと勘違いして怒ってたの?」
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