縁は異なもの、俺のもの

初恋

皐月が俺のせいでいじめられていたなんて全然気づかないで、彼女を守っている気になっていた。

ずっと側にいる。

━━そんな一言で皐月を縛り付けていたんだ。そして、あっさり裏切った。

そんな俺の言葉なんて信じられないよな。

一穂が疑うのも無理はないと気づき、ぎゅっと目をつぶった。でないと泣いてしまいそうだ。

「信じるよ。冬樹の言葉を信じる。僕も冬樹が好きだよ」

その瞬間、堪(こら)えていた涙がポロポロとこぼれ落ちた。

━━なんで分かるんだよ。なんでいつも俺が欲しい言葉をくれるんだよ。

「ねえ冬樹、泣かないで。……僕の気持ちが嫌だった？」

違うよ。そんなわけない。

そう言いたいのに、声にならない嗚咽が漏れるだけだ。

嬉しいのにどうしてこんなに涙が出るんだろう。

俺は後から後から溢れてくる涙を拭いながら、首を横に振ることしか出来なかった。