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「赤くなっちゃうよ。冬樹は泣き虫だね」
何とか涙を止めようとしてごしごし擦っていた手を一穂に止められた。
「顔、上げて」
優しい声に促されてその通りにすると、一穂が目尻にキスをした。
「ほら、泣き止んだ。これって、冬樹の真似だよ。キャンプで落ち込んでた僕にキスしてくれただろ?あの時、びっくりして何も考えられなくなったから、冬樹もびっくりしたら涙止まるかなって思ったんだ」
いたずらそうに笑う一穂を引き寄せて、抱きしめる。
「あ、りがとう。……俺たち両想いだよな」
「うん」
「嬉しい。………キスしてもいい?」
「僕も、キスしたい」
もう一度だけ袖口で涙を拭い少しだけ体を離すと、一穂は顔を赤く染めながらも反らすことなく俺の目を見つめてくれた。
「好きだ」
「好き……ん……」
二人の唇が重なるが、緊張して少し震えている。
━━初めてじゃないのにな。
軽く触れあうだけのキスなのに……何でだろう?今までしてきたキスよりもすごく気持ちいい。
角度を変えて何度も何度も繰り返していると、はぁ……と一穂が艶めかしい吐息を漏らした。
可愛い。
わずかに開いた唇の間から舌を差し入れると、一穂の体が小さく跳ねた。
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