初恋

15/18
前へ
/80ページ
次へ
「んっ……」 頭に手を回しさらに深く口づけると、一穂の甘い声が漏れる。 ゾクゾクとした快感が沸き上がり、思わず捉えた舌を吸い上げると一穂の背中が弓のようにしなる。 はぁ、たまらない。 俺はいつの間にか一穂を床に押し倒し、その上にのし掛かってキスを続けていた。静かな部屋には甘い声と淫らな水音だけが響く。 「あっ……」 突然驚いたように一穂が声を発し体を引いたので、唇が離れた。 ハァハァと息を乱しながら俺を見上げる一穂の目に、少しだけ不安の色が見てとれる。 抱き寄せようとすると首を振って更に体を離そうとするので、一穂の耳に口づけるように囁いた。 「大丈夫だよ。俺も同じだから」 「えっ……」 「好きな人に触れてるんだから当たり前だよ。だから、安心して」 漸く一穂の肩から力が抜けた。 「ねえ、見せてくれる?」
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

467人が本棚に入れています
本棚に追加