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この学園は中庭を挟んでコの字型に校舎が建てられている。
向かい合っているのが中等部と高等部で、それをつなぐのが特別棟と言われる建物だ。一階に食堂と購買部、二階に2つの職員室と指導室関係、三階と四階に音楽室等の特別教室と図書室がある。
美術室に教科書を忘れてしまい焦って取りに行ったらちゃんと有ってホッとして教室を出た瞬間、廊下の向こうから歩いてくる人を見て固まった。
気づかないふりなんて出来ない。何故なら放課後の特別棟はほとんど人気がなく、現にここにいるのも俺と目の前の1人しかいない。
生徒会長の高屋敷 正宗は俺に気づくと足を止めた。
「桜庭、話があるんだが時間をくれないか?」
「今ですか?」
「そうだ」
「……少しだけなら大丈夫です」
俺はしぶしぶ了承した。上級生、しかも生徒会長に言われて断れないのと、俺もこの人と話してみたいと思っていたから。
たぶん会長は図書室からの帰りだろう、科学のような本を数冊抱えている。
黙って歩く会長に付いていくと、高等部の4階にある生徒会室に着いた。
「失礼します」
ほとんどの生徒が入ることなく卒業する部屋なので緊張する。
「誰もいないからくつろいでくれ」
入るとすぐにソファーがあり、その向こうに机がある。学校にソファーがあるなんて………さすが金持ち学校だ。
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