勇者と魔王

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「俺の魔王の力はこの世界に来てからなぜか徐々に減少していた だがら今どう言うわけか元に戻りつつある この力を一点に集中させればヘレストの命を一撃で奪うことができるはずだ」 「マジで・・・?」 恭介は黙って頷く 「一撃ってところが重要だ その一撃で奴の命を奪いつつ俺の体に取り込む じゃなきゃナノに邪魔されかねない 方法は食べる予定だ」 「え!?食うの!? あのおかまを食うのか!?」 「それが一番手っ取り早いだろ」 「まぁ、そうなのかもしれないけど でも、そんな方法でいけるのか?」 「こればかりはやってみなければわからないが・・・ヒュリムは元々神じゃない だがアイナスからその力を受け継いで神になってる つまり神じゃないものが神になることは可能なんだ 奴の肉体に完璧に馴染んでないのは元々神じゃないからだろう」 「じゃあ君の体も馴染まないんじゃ?」 「俺の体は三度の蘇生によって神の手が加わりまくってる もはやその構造は神の肉体(それ)に近いはずだ あながち負け確定の賭けじゃないはずだ 奴の肉体を完全に取り込むには食うのが一番だろう それで神になれれば、俺は魔王を超えられる」 「超えて、それでどうするんだ? ナノちゃんと敵対しちゃうじゃんか」 「・・・誰もが【普通に】生きる世界を作りたい そのためにはこの世界を1回すべてぶち壊し作り直さなけりゃならない 根幹から入れ替える必要がある そして、その世界をお前と迎えたい」 恭介は立ち上がって右手を差し出した 「恭介・・・」 「お前にも歩ませてやりたいんだ、普通ってやつを」 クロの前に差し出された右手 これを握れば、ナノも世界も全てを敵に回すことになる 世界が作り変えられるその日まで クロは息を飲んだ クロにはわかる 彼は本気だ 嘘などついていない 「君と行けば僕の普通が見つかるのか 僕の求める普通が・・・」 「約束する」 クロは一瞬迷って、その手を握った
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