その定義

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『ぐ・・・』 ヘレストは地面に落ちると、なんとか体を動かそうともがいた しかし、肉体へのダメージや撃ち抜かれた心臓部分の修復には時間がかかる 《体が・・・動かない・・・》 『無様じゃのDr.ヘレスト 貴様は自分が管理する人間達によって追い込まれて殺される 観念せい』 倒れるヘレストを見下すようにナノが語りかける そして、その右手にはとどめを刺さんと力が込められている 《は、反撃に出るチャンスがない・・・ こいつら、シミュレーションして来たんだ・・・ 私を追い詰め、殺すための完璧なシミュレーションを こんなところで・・・こんなところで・・・》 『こんなところで死なないのよぉぉぉおお!!』 ヘレストは一気に立ち上がり、咆哮をあげた 凄まじいパワー 体に残った最後の力 さらにら気持ちを奮い立たせることで、怒ることで、憎むことで、諦めなことで、さらなる力を生み出した 『こやつ、まだこれほど・・・!?』 『貴様らごときに殺される私じゃなっ・・・!』 瞬間、ヘレストの右半分の視界が暗闇に包まれた 突然のことに状況が把握できない 手を挙げ、右目を確認する しかし、そこに自身の知る感覚はなかった 『な、なん・・・じゃと・・・!?』 ナノは驚いていた 自分の背後から高速で忍び寄る何かが、突如としてヘレストに襲い掛かった その何かは、一瞬にしてヘレストの顔面の右半分を削り取ってしまった 「うん・・・まずいな まぁ、うまそうじゃあないもんな」 『き、恭介・・・』 第2形態に変身した恭介が、ヘレストの顔面をかじり取ったのだ 『あ、あなた・・・何を・・・』 「うるせ」 言い終わるのを待つことなく、再び恭介がヘレストに襲いかかり、頭部全てをかじり取った ゆっくりと咀嚼し、飲み込んでいく 「お、おいてめえ!なにを考えてやがんだ!!」 ジャンゴが、戦闘態勢(ファイティングポーズ)を取りながら大声で叫ぶ 「さぁ、なんだろ」 ふっと笑うと、恭介の腹に一文字の切れ目が入る その切れ目が開くと、それは巨大な口になっていた 「んじゃ、残りも」 首が無くなったヘレストの体を拾うと、当たり前のように腹部の口に押し込み始めた
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