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真っ白な空間
どこから光が差しているのかわからないが、置いてある椅子や机などの物品はなんの問題もなく視認できる
そんな場所に一人、美しい女が立っていた
美しい黒い髪をたずさえた女の目線の先には1枚のモニター
そこには男が一人、映し出されていた
『2000年前、創造神アイナスを欺き・・・
神の創造物たる人間で唯一、神に反旗を翻した男
一体どんな男なんでしょうか・・・
興味がわきますねぇ』
ふふ、と笑い声がこぼれる
誰もいない空間にその声は響くこともなく消えていった
『誠実性など無く・・・
欲深く・・・
無遠慮で・・・
誰よりも痛みというものを理解した男・・・
アイナスの話だけでは、私には理解できないところが多い
一言で言えばまさしく掴み所がない・・・とでも言うのでしょうか』
女はゆっくりと踵を返すと、そのまま椅子に座り込んだ
『しかし、アイナスのあの執着心たるや、めまぐるしいなんてものではなかった・・・
それほどの人間・・・
やはり直接見て、体感するしかありませんねぇ
神が人間のことを知りたいと思うだなんてなんとも滑稽な話ではありますが
まぁ、こうなることも予想してアイナスから託されたんですけどね・・・』
女は肘掛についていたスイッチを押した
すると床が開き、エレベーターのように下に下がりだした
椅子が止まると、広い空間が広がっており、その中央には透明なカプセルが浮いていた
その中にはエメラルド色の液体と裸の男が入っている
『ふふふ・・・
2000年も意外とあっという間ですね
それも恐らくはあなたがいたからでしょうか・・・?
もうすぐですよ
もうすぐ、私達会えますから・・・』
女は白く美しい細い手をカプセルに添えた
『あと少し・・・待っていてくださいね
魔王・・・いえ・・・
黒島・・・恭介・・・!』
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