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煌びやかに飾られた会場と、食事を楽しむ人並みを眺めながら、2人の男がひそひそと会話している。
1人は燃えるような赤い髪。うさぎの耳を象ったような帽子の広いつばの裏から、舐るような眼光を会場の隅々まで渡らせている。
うさぎ「それで響也、今日は何人食っていいんだっけ?」
不穏な言葉とともに舌舐めずり。
その質問に、隣でその様子を見ていた金髪の男が、クスリと笑いながら答えた。
響也「だめだようさぎ君、今日は楽しむ日なんだからそういう血生臭いのはなーし」
うさぎ「ちっ、つまんねぇーの、せっかくの“綺麗なもの”が揃ってるってのに台無しじゃねーか」
響也「君が壊したらそれこそ台無しでしょうが」
金髪の男は呆れたような声音で話すが、
その眼の奥は赤髪のうさぎ男と同じかそれ以上に鋭く、気安く触れたら血が滲みそうだった。
響也「今日の君には大いに働いてもらわなくちゃならないんだから、主のためにね」
うさぎ「はっ、主のためねぇ…」
興味ないと言わんばかりに、ふっと息を吐くうさぎ男
響也「君が大いに注目を集めてくれれば、僕たちが裏で動きやすくなる。報酬も弾む。だから頼んだよ」
うさぎ「どうでもいいよ、俺は俺なりに楽しくやらせてもらうからな」
響也「それでいいんだ」
うん、と金髪の男が頷くと同時に
赤髪のうさぎ男は羽織っていたジャケットと帽子をを脱ぎ捨て、
何処からか取り出したうさぎの仮面を身につける。
響也「サマになってるねぇ」
うさぎ「当たり前だろ」
響也「仕込みは?」
うさぎ「上々」
響也「 さぁ時間だ、俺は行く」
うさぎ「こっちは任せろ」
響也「いいね」
会場の陰に紛れる金髪の男
響也「さぁ、暴れてこい」
突然、さっきまで会場に紛れていた
赤髪のうさぎ男が声を張り上げた。
「サァサ、紳士淑女皆様、お立ち会いお立ち会い!
これからウサギが宙を舞います!一瞬でも目をそらしたら見逃しますよ!」
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