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雪斗は紅林が通り過ぎた後、注射器を返し、先回りのつもりで花岡を探していた。
紅林の悲鳴が聞こえたところへ行こうとしたが、怯えた紅林が勢い良く学校を出て行くところを見かけた。
その後、気絶した花岡を兄・昭人が連れてきて、昭人の伝言もあり、すぐに帰ったとのことだった。
「じゃあ……やっぱり、兄さんいたんだね……。」
「ああ…。どっか行っちまったけどな……」
花岡は複雑な表情を浮かべた。
「それとさ…。もう、“嘘”はつかなくていい。」
「藤村君?」
雪斗はやるせない表情で
「花岡は“女”なんだろ?」
「ち、違う!ボクは…」
花岡は慌てるが
「お兄さんが“妹”って言ってたんだよ…。嘘はもう、つかなくていい。本当のこと、話してくれないか?」
花岡は俯いたまま本当のことを話し始めた。
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