荒地の花壇

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「違う学校の人。じゅ……塾で仲良くなってね。相手をデートに誘いたいんだけど。俺、そういうのはじめてで……どうしたらいいのかなと思ってさ」  じゃあいっしょに考えよう! ということで週末、彼と横浜みなとみらいにいくことになった。横浜のデートスポットで写真を撮って、あとでデートプランを考えることになったのだ。でも事前準備ゼロの私たち。どこがデートスポットかさっぱり分からない。  ぷらぷら歩いていたらスーパーオートバック前にきていた。 「おっ! かっこいい車がたくさん停まってる、都内ってさあ、こういう車あまりいないじゃん」  車高が低い車、やけに出っ歯な車、頭に翼がついたような車。個性豊かな車のなかに、目を引く一団があった。十台ほどRX7が並んで停まっている。黄色とシルバーが人気のようだが、それぞれが個性的だった。 「かっこいいよなあ。この車に父さん乗ってたんだ。……でもこれが原因でうちの親、離婚した」 「車離婚?」 「そう……7(セブン)離婚」  佐久の両親は去年、別々の人生を選択した。今は母親とふたりで小さなアパートで暮らしている。 「助手席に乗るの好きだったんだ。心臓持っていかれるみたいな加速するんだぞ! 峠をくいくい登ってって、タイヤ鳴らしながらまがっていくんだ。対向車がきたらアウト。俺、何度も死にそうになった」     
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