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「あ、君見えちゃう人?ごめんねー、驚くよね」
「ん?これ?あぁべつに何の問題もないよ。ただ、たまーに僕のそばに寄り過ぎちゃった人を傷つけることがあってね……」
「え?僕と仲良くなると怪我をするって噂がある?あはは!そうかも!彼女ヤキモチ焼きなんだよ!かわいいでしょ?僕に寄ってくる人は女でも男でも許さないって」
「あれ?顔色悪いけど大丈夫?」
「ああ、そっか君腕しか見えてないんだね。綺麗な腕してるでしょ?すらっとして手足が長くて、彼女に嫉妬して嫌がらせしてる女とかいてさ…僕も害虫駆除に困ったよ」
「ん?害虫?だって彼女に嫌な思いさせるようなことする奴らなんて、彼女の嫌いな虫以下じゃない?だからね害虫駆除」
「お祓い?やだなー僕が彼女と離れるわけないじゃない。
だって僕が彼女に頼んだんだよ?
美しい君が周りの目に晒されてるのが耐えられなくて、
ほかのやつと同じ空気を吸って生きてるんだと思うだけで嫉妬で僕はおかしくなってしまいそうだよって。
うん、実際僕はおかしいのかもね。
でも耐えられなかったんだよ。
彼女の目に僕以外のものが触れるのも、髪や服に香りがつくのも、他の奴の目に彼女が映るのも。
だからねこうやってずっといられるように、僕から離れられないように死んでもらったんだ」
私の目には腕に抱かれた美しいでも歪な笑顔の青年。
校内で彼の周りで起きるという不思議な現象の話を聞いて会いに行ったカフェテラス。
混雑した中でもそこだけ避けるようにポツンと佇むのは美しい青年。
席から立つ時初めて彼のいう彼女の顔が見えた。
長い髪の間から見える唇がかすかに動く。
「ニゲテ」
逃げて。
でも……私は多分いやまたこのカフェテラスで彼の姿を探す。
彼の嫉妬の炎に焦がされた私は死ぬまで逃げられない。
いや死んでも彼を逃がさない。
彼を抱く腕に私は強い衝動と嫉妬を覚えた。
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