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エリオットは淡泊な人だとは思っていたけれど、まさか想像すらしてもらえてないとは。なんだか少し寂しかった。
「エリオットは、僕とどんな事をしたいの?」
「え?」
「それも、想像してなかった?」
聞いてみたい。彼が何を考えているのかを。彼の希望を。
彼を見てきた。だから分かった。エリオットが好いてくれた事を。
嬉しかったけれど、怖かった。分かったからって簡単に手なんて出せない。不用意に触れたら、逃げられてしまう。だから、待っていた。
「できれば…」
「できれば?」
「一緒にお茶のお菓子を選んだり、揃いのカップを選んだり。そんな事ができればいいなって、思う事はありますが」
「そんなのでいいの?」
「私には、贅沢なくらいです」
「もう、エリオットは可愛いね。そんなのすぐに叶えてあげるよ」
そう、それもいい。彼と歩く街は楽しい。二人で選ぶ物を増やして、共にある時間を育てて。そうして歩む道を積み重ねていければ、多分幸せなんだ。
オスカルは笑う。揺らがせない未来を誓って。
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