お茶の時間

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 エリオットは、ファウスト、シウス、クラウル、そしてオスカルと同期入隊だった。  地方から来た貧乏騎士の家柄。とてもじゃないが王都の人達に気後れして縮こまっていたエリオットに最初に気づいたのは、オスカルだった。 『君、綺麗な顔してるね。もっと前に出ればいいのに』  そんな事を言って、腕を掴んで引っ張りあげられたあの日の事は今でも忘れない。  あれよあれよと事が動いた。  奇天烈なメンバーは徐々に頭角を現して、五年前には団長となった。そんな彼らに水をあけられた。そんな気がして一時は沈んだ。そんなエリオットを浮上させたのも、オスカルだった。 『やりたい事、あるんじゃないの? 駄目だよ、見失ったら』  そう言ってもらえて、ここに来てやりたかった事を思い出した。  戦で死ぬ人が一人でも減るようにしたい。医学を極め、そうした人材を増やしたい。  元より医学を学ぶために王都に来た当時を思い出し、医者に師事し、研究書を読みふけり、師からもお墨付きをもらってようやく陛下に願い出た。  そうして、今がある。     
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