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二年くらい前から、朝のお茶の時間に彼が参加するようになった。
最初は驚いて、次には呆れて、今ではこれが普通。エリオットも、彼が来ないと不安になってしまう。
お茶の時間が楽しくなった。お菓子に茶葉にティーセット。彼が好きそうな物を選ぶようになって、選ぶ事が楽しくて。
そうして過ごす時間に安らぎと幸せを感じるようになっている。
甘く音を立てる胸の鼓動に気づいたのは、一年くらい前。目が離せない自分を自覚して、一緒の時間が嬉しくて。これを特別だと気づいた自分に驚いた。
今はこんなにも、感情が揺れる。離れる事を寂しいと思ったり、所作の一つに見とれたり。
けれど困ったのが、彼の瞳を直視できなくなったこと。見透かすような青い瞳に見られると、この小さな恋心まで見られてしまいそうで。
騎士団の中では、男同士なんて珍しい事ではない。遊びも真剣も含めて、そういう趣味の人は多い。
けれど自分が、そこに含まれるとは思わなかった。だから恥ずかしいし、困惑する。好きでも、発展していく事は想像がつかない。
これはずっと心の中だけで留めておく想い。押しつける事も、発展させていく事もない。明かすつもりもない気持ちだった。
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