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診断の結果、ラウルも風邪。ランバートが看病を引き受けてくれて、今は眠っている。幸い気づくのが早く、今まででは最も軽症だった。
「それにしても、急に来たな」
緊急会議が開かれている小会議室で腕を組むファウストが唸る。それに、オスカルも頷いた。
「城の大臣だとか役人も、何人か調子悪そうにしてたよ。城で働いている人達の間でも流行ってるみたいで、医務室大忙し。医者も何人か倒れたみたいだし」
どうやら城の中でも同じ事が起こっているようだ。それもまた心配だ。
「薬などは大丈夫かえ? 少し、融通をつけようか?」
「いえ、そちらは大丈夫です。遅かれ早かれ、この時期には流行りますから多めに準備はしてあります」
これだけが救いだろうか。国中で流行るとなると、途端に薬が不足する。
「隊員たちには、こまめに手を洗う事やうがいをするように言っておいてください。温かくして眠るように。後、濡れタオルなどを室内に掛けて加湿するようにとも」
「分かった」
真面目な顔でファウストが言う。他の人達もそれぞれ頷いて、明日の朝一でそれらを伝えてくれる事になった。
思わぬ依頼は、その翌日にやってきた。
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