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パーティー当日
パーティー当日、会場の側に特設されている医務室は静かなものだった。始まって既に一時間は経つのに、人は来る気配がない。
まぁ、医務室なんてのは暇な方がいい。皆、怪我もなくやっている証拠だ。
エリオットはお茶を片手に見える庭先に視線を向ける。
その時、突然と扉がノックされて、エリオットは弾かれるように立ち上がった。
「はい」
声を掛けて扉を開けると、近衛府の一人が一人の女性に手を貸しながら入ってきた。
見目のいい、十代後半の女性だ。長い金の髪を結って花のピンで止めた、大きな緑色の瞳の女性は目鼻立ちがよく、利発そうな雰囲気がある。ピンク色のドレスを纏ったその足下は、けっこう高いヒールの靴だ。
「足を挫いてしまったようで」
「そこに座らせてください。あと、この服に合うヒールのない靴を用意して」
女性を椅子に座らせると、すぐに部屋を出ていく近衛府の動きは流石にキビキビしている。見送って、エリオットは女性に近づいた。
どう言ったらいいか。隊員なら問答無用なのだけれど、相手は女性だ。下手に触れると怒らせてしまうかもしれない。
そんな事を思っていると、女性の方がニッコリと微笑みかけてくれた。
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