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社内闘争というか、家族間闘争に負けて、兄に飛ばされてきたらしいのだ。
ちなみに、その兄は社長候補として、本社に残っている。
「自分ではそれなり、仕事はできるつもりだったんだがな。
所詮は、ただの七光りだったのかなという気もしてきている」
ドンブリの中の少なくなった蕎麦を見つめながら、そう呟く冬馬に、
「いやいや、そんなことないですよー」
と琴音は言った。
「支社長がいらっしゃって、みなさん、お喜びですよ」
と言うと、冬馬がこちらを見た。
「すごいイケメンの社長の息子さんが来たって」
「いや……、それ、喜んでるの、適齢期の女だけだよな」
やだ、そんな女、嫁にもらうの、と言う。
あ、またご機嫌ななめになってしまった……。
仕事は出来るし、社長の息子だし、イケメンだしで、みんなキャーキャー言ってはいるが、休みの日に会うと、かなり、めんどくさい人だなあ、と琴音は思っていた。
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